『遠くへ飛ぶことだけを考えて生きてきた。』

大学生の頃、知り合った建築家はボクに向かってこう言った。ボクはその発言に大変共感したと同時に、少しホッとしたことを今でも鮮明に覚えている。現在も、ボクはその方法を模索している。

大学

大学に在学していた頃、本を貪るように読んでいた。乱読するということを意識的に取り組んでいた。その中で、外山滋比古さんの「思考の整理学」を拝読した。グライダー人間と飛行機人間の話。ー自ら考えることができないのにできると勘違いしてしまっている人を風がなければ飛べないグライダー、自ら考えることのできる人、創造する者をエンジンのついている飛行機に喩えられた話だーボクに欠けている部分を突きつけられた感覚を今でも鮮明に覚えている。

高校

高校生の頃、学校で習ったのは、効率よく勉強して、できる限りの知識を蓄えて、テストで良いパフォーマンスをすることだった。何か新しいことを始めましょうなんて話、耳にすることはなかったし、そんなことを考えている余裕があるなら勉強しなさいと間髪入れずに言われてしまう雰囲気があった。部活を引退してからは、阿鼻叫喚しながら課されるものに対して勉強するしかなかった。

中学

グライダー人間になることはそんなに得意じゃなかった、のだと思う。しかし、中学生までは、ある程度頭のいい人間(グライダーとしての性能の良さ)なのかなと勘違いしていたこともあった。塾に入る時期も早かったし、行きたい高校も明確にあったからか、グライダー人間になることへの疑いの余地はなかった。それでも、都内の高校で1番文化祭に力を入れている高校を選んだのは、創作することへの興味が根本にあったように思う。

高校2

大学を決めるときには、建築をやりたい、と考えると同時に(詳しく言語化することはできていなかったけど)無意識のうちに飛行機人間になること、他人と違う世界を創造する能力を身につけられることを基準に大学を選んだ。高校に入学してからは、ボクよりグライダー性能の高い友達と日々を過ごしてきたことも要因であったように思う。

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ユーアーワッチューイート。ユーアーワッチューイート。

You are what you eat. 

Anthelme Brillat-Savarin

ユーアーワッチューイート。ユーアーワッチューイート。

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現在

「あなたはあなたの食べるものでできている。」

何を食べるかであなたらしさが決まる、あなたの言動ひとつひとつがあなたという人間を形成している。

飛行機人間を目指すと決めたボクは、ボクを構成する要素探しを日常にする。

錯綜する情報社会の中で、ボクによる消費行動と思われていたものが、社会によって形作られたもの、と知って呆然とする。ボク自身はどこから生まれ、どこに向かっている?我思ふ、故に我アリ???混沌。混沌。

普通というのはいいことではない。

他人とは違う行動を。

他人ー自分。

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自分のエンジンについて懐疑的になる瞬間ほど苦しいものはない。他人には見られない世界を創造することをいつまでも求めたい。自分の感性に否定的にはなりたくない。クリエイティブな活動をしていると辛くなることもある。でも大丈夫。苦しくなったら、戻るべき場所を用意してきた。それは、音楽でも。文学でも。詩でも。

強くありたい時は、茨木のり子さんの『自分の感受性くらい』を読む。

空も飛べるはず。遠くへ飛べる人間になりたい。

そら